時々こんなエントリーをUpしておかないと・・・w

「浜錦とクラウンパール(高頭珍珠鱗)の違いについて」


まづ初めに、浜錦とクラウンパールは双方とも確立された品種であること。そこが大前提の
お話になります。
とはいえ浜錦の発生の基となったのはクラウンパールです。要するにクラウンパールの方が
歴史が深く、浜錦は歴史が浅い(昭和53年名命)と認識すべきです。
よく巷で噂される検証や風説について触れながら、その両者の違いについて
書き留めてみたいと思います。
ちなみに私は浜錦は浜錦として、クラウンパールはクラウンパールとして双方を愛玩する
愛好家の一人で、両者の間に優劣を付けるものでは御座いませんので誤解なき様に。


1)浜錦は二つ瘤?
あの特徴的な“水泡状肉瘤”は一つ瘤も二つ瘤もオランダ獅子頭状の一般的な肉瘤も
存在します。瘤の形態だけでは判断出来ませんし、それで判断を試みることは無意味です。
さらに付け加えておくと、眼を覆い隠し鰓まで達するほど発達した水泡状肉瘤の
浜錦も居れば、フロッグヘッドの如く小さな水泡状肉瘤を乗せた浜錦も居ます。
また、雄雌で水泡状肉瘤の大きさの違いが顕著に表れ易い品種でもあります。
二つ瘤が浜錦ではなく、浜錦の理想形を二つ瘤と定義しているとお考えください。


2)浜錦はパール鱗?

いいえ、珍珠鱗の発生を主眼において作出された品種ではありませんので、珍珠鱗の発生は
二次的副産物と云えます。作出者の狙いはあくまでも過去の品種で見ることの無かった
“水泡状肉瘤”の発生です。(水泡では無く、あくまでも水泡状です!)
あえて鱗の名称で呼ぶのならば「浜錦鱗」でしょうか?石灰質な珍珠鱗とは一線を画す
特有の形態・表現の個体が昭和~平成初期に多く流通していました。
今日、しっかりと珍珠鱗が乗った浜錦も珍しくありませんが、当時では考え難かった形態です。
ちなみに全く普通鱗の浜錦も当時は数多く存在・流通しており、オランダ浜等の名称で呼称
される場合もありました。
「画像:G-kingyo所有 非流通魚」
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3)浜錦は普通鱗性?
はいその通りです。その後作出者の渡辺氏は「錦と名乗る以上、キャリコ柄(渡辺氏は三毛
と呼称)の魚が相応しい」とし、東錦との交配でキャリコ浜錦にご尽力されましたが、
普通鱗性に比べ肉瘤の発生が乏しく次第に流通も減っていきました。
その当時のモザイク透明鱗性を持つ系統は既に絶えている為、現在モザイク透明鱗性の
浜錦は存在しません。
もしもショップやWEB上で“キャリコ浜錦”等と表記されている個体を販売している場合、
まずその販売店の姿勢を疑うべきです。
仮に問屋などからの流通経路上、伝票が「キャリコ浜錦」とされていたとしても販売店側は
責任をもって品種名を是正する義務が有ります。なぜなら購入者は対価を支払い“契約”が発生
しているからです。間違った品種と知らずに購入した愛好家は被害を被ることに他なりません。
「画像:渡辺氏所有のキャリコ浜錦」
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4)浜錦は丸手じゃないの?
発表当時、丸手も長手も中長手も混在していたのが事実です。今日では丸手+珍珠鱗を
基本とした浜錦が流通のかなりのウエイトを占めています。時代?あるいはニーズの変化?
でしょうか、渡辺系統・作出当時の風情を見せる体形の浜錦は少なくなったと感じています。

その作出者が求めていた体形は定まった意図が存在していました。それは3歳~4歳と肉瘤が
大きく発達するにつれ頭を沈める魚では観賞魚の価値が半減する。ましてや丸手にありがちな
転覆は排除したいとの思いが有った様です。そこで作出者は中長手~長手の魚を理想と
していた節はありますが、そこでも優先はあくまでも“水泡状肉瘤”でした。
「画像:フルタニ金魚倶楽部さん過去画より」
f0138974_23302395.jpg



5)クラウンパール(高頭珍珠鱗)はキャリコ?
その通りです。一見、更紗模様に見えるクラウンパールでも普通鱗更紗はごく稀にしか
存在しておらず流通のそのほとんどが透明鱗性の紅白、いわゆる”桜”タイプです。
その理由は明白で、クラウンパールの発生は中国産金魚各品種の自由交配の中から得られた
特異な形態を持つ珍珠鱗魚、その珍珠鱗魚が透明鱗性だったからです。


6)クラウンパール(高頭珍珠鱗)は一つ瘤?

浜錦の瘤で触れた内容と同じです。クラウンパール(高頭珍珠鱗)とは1970年代後期~
80年代までオランダ獅子頭と同様の一般的な肉瘤を乗せた魚でした。オランダパールとも
呼称されていましたが、正にオランダ獅子頭の体形に珍珠鱗を取り込む意図で作られたと
解る個体も当時は数多く流通していました。

90年代中期以降、“水泡状肉瘤”を乗せる個体が流通しはじめ今日そのほとんどは“水泡状肉瘤”
です。浜錦の血が混入したであろうと容易に想像が付きます。
「画像:Dr tawasiさんのサイトより http://goldfishfreak.web.fc2.com/
f0138974_23304464.png



7)クラウンパールとキャリコクラウンパールは別品種?
いいえ同系統・同品種と捉えるのが理論的に妥当でしょう。中国の広州周辺には優秀なクラウン
パールを数多く出荷する優れた養魚家が複数存在していました。それらは中国の大手商社から
EU圏へ大量に輸出されていました。ところが近年、ニュースソースでお馴染みの環境汚染は
深刻かつ危機的状況で、それら養魚家の多くはクラウンパールから別品種へシフト、或いは
環境の変化に強い別カテゴリーの観賞魚へ移行された養魚家も多いと聞きます。

それに追い討ちを掛ける様に日本国内では「金魚ヘルペスウイルス」が発生し、輸入~管理
~販売に多くの規制が掛けられる事態となりました。
そんな中、キャリコクラウンパールの秀逸な個体は稀でしかもその多くはEU圏へ送られていた
為に日本国内にはごく少数しか輸入されていませんでした。その様な状況が永く続いた為か?
キャリコクラウンパールを特別視・分類する傾向もありその様な誤解が生じたかも知れません。

今後、国産の東錦の様な浅黄色を発色する素晴らしいキャリコクラウンパールが多くの
愛好家の目に触れる事を期待して止みません。
「画像:G-kingyo所有魚(インボイスネーム=ブルーベースキャリコクラウンパール)」
f0138974_23421474.jpg









さてお気づきでしょうか?
ここまでの内容で浜錦とクラウンパール(高頭珍珠鱗)の違いについて概ねご判断付いた方
もいらっしゃる筈です。
私の様なオールドファンは初期の高頭珍珠鱗、つまりオランダパールから今日のクラウンパール
までの変遷を見続けているだけに、実魚に触れた時その両者の異差は一目瞭然です。
しかしながら今日、珍珠鱗の発生が良好で立派な二つ瘤の浜錦を見るにつけ、確かに一見
クラウンパールと似ている?と思わざる得ません。後発であったはずの浜錦はその類似点から
クラウンパールと云う品種に覆い尽くされて仕舞うのでしょうか?

両者の決定的異差は「浜錦=国産魚種」に対し「クラウンパール=中国産品種」であること、
それが全てと云っても過言ではありません。
作出者は日本固有種の艶やかな風情、江戸川流金・日本オランダ・東錦(関東)・らんちゅう
・地金等々にみられる“趣”を持つ品種の仲間入りが本望でした。そこには一定条件の体形・
尾肩・頭・目幅・色合いなどの基準が存在していた筈です。
一方、美しさの嗜好が異なる中国金魚。独自性や奇異性・変異~発達などは多くの日本の愛好家
達の心を掴みましたが、それは日本金魚に求めた美しさや可愛らしさとは別のものです。
近年では中国や東南アジアの大型ファームから輸出される品種の中に日本基準、或いはそれ以上
の立派な個体を見ることも出来ます。しかしそこに迫力やオリジナルティーは見出せても、日本
固有種の“趣”までも汲み取ることはやはり困難です。

クラウンパールは浜錦に見られない丸く膨らんだお腹を持ち、それは上見からも横見からも
顕著です。また特徴的な珍珠鱗の発生はボディー全域にわたり、クラウンパール同士の交配では
その発生率・遺伝率はかなり高いです。
一方浜錦では珍珠鱗はやや劣性遺伝で、現在なお珍珠鱗もあれば普通鱗も、また浜錦鱗と
呼ばれるその中間タイプの鱗も見られます。またクラウンパールほど腹部の膨らみは顕著では
ありません。体形もやはり丸手から長手まで個体差は有りますが、クラウンパールでは長手と
云える様な表現の個体はほとんど発生しません。
両社の異差が解り易いのは体形と鱗の表現です。

中国産のらんちゅうやオランダ獅子頭や東錦を、さも国産魚の如く扱い販売する店舗は存在
するのでしょうか?その様な事例はあまり耳にしませんが、別品種名クラウンパールと名が
有りながら、それを浜錦と名乗って販売されているケースは未だ絶えません。
Q&Aで触れたように浜錦にはキャリコも桜も黒も五色も存在しません。
一代雑種的に浜錦×クラウンパール、或いは他品種との交配で得た個体も見掛けた事例は
ありますが良心のある養魚家、浜錦やクラウンパールを愛する養魚家は決して浜錦と名を
付けない筈です。
また反対に、ごく少数ですが発表当時の浜錦を再現すべく作出者渡辺氏の系統に近い姿の浜錦
を繁殖されている養魚家の方がいらっしゃったり、本当の意味合いでキャリコ浜錦を追い求め
られている養魚家の方もいらっしゃいます。現在市場に流通の多い姿・形態の浜錦ばかりが
浜錦ではないと付け加えておきます。

作出者渡辺氏の浜錦の系統は既に絶えています。当時の様な風情を醸し出した浜錦は二度と
見られないのでしょうか?作出者は何を求めて浜錦に精力を注ぎ込まれたのか、何に対して
新品種としての差別化を図るべく累代繁殖を繰り返してきたのか。
その原点を探り想い馳せれば、さらに浜錦とクラウンパール(高頭珍珠鱗)の違いは明確に
なる筈です。

浜錦とクラウンパール(高頭珍珠鱗)の違いをより一層混乱させた要因は、ひとえに問屋~小売店
に有ると言って過言ではありません。その後風説を交えて事の真意はあらぬ方向にまで飛躍した
時期もありました。
専門誌・刊行雑誌・WEBページ等の情報を鵜呑みすることは危険です。なぜなら取材者ご本人の
知識見識・取材時期(年代)のタイミングによって。あるいは出版スポンサーの意向の反映まで
もが情報を操作、歪曲する可能性が排除出来ないからです。
事実、私自身が作出者渡辺氏ご本人から聞き得たお話と、某有名観賞魚雑誌のレポート文面
とでは相違が数多く存在し「これだけは聞き逃さないだろう・流石にココは合致している
だろうと」云う点まで食い違う有様でした。
自分の目で数多くの浜錦とクラウンパールに触れることが両者の違いを求める最短・最善の
方法だと私は思います。
「画像:鈴木養魚場 浜錦×東錦F3魚」
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最後に・・・
このエントリーを読まれているあなたは浜錦とクラウンパールをそれぞれ3歳~4歳と育てた
経験は御座いますか??

            ********おわり********
[PR]
by G-kingyo | 2015-11-21 23:44 | 金魚四方山話

金魚の想ひ出・金魚にみた夢・お母さんに内緒の金魚・・・単一魚種を中心とした、Gと金魚の「愛と偏見」に満ちた?魚ログ


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